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Life Changer(裏)8 [小説]

第二章5



下河原とRuriは翌日テンゲンで待ち合わせをしていた。

保安要員からの報告では裏通りのカフェで話をしているようだ。テンゲンというと」Ruriのかかりつけの病院があるところだ。後で病院にも寄るつもりなのだろうか。

話の内容はわからないが、真剣な話しぶりだと報告があった。

思考パターンセンサーの状況は二人とも安定している。

Ruriのパターンの方が若干好意への振れが大きいようだ。

完全にRuriは下河原に好意を抱いている。

遠山は昨日会った下河原の顔を思い浮かべた。

お世辞にもいい男とは言えない。中年にさしかかった、どこにでもいるような男だと感じていた。

人の好意というのはわからないものだ。だが、そのおかげで今回のオペレーションは障害なく進んでいる。

と、そんなことを遠山が考えているとき、Ruriの思考パターンに乱れが生じた。

「Ruriのパターンに乱れが生じています。大きなものではありませんが、動揺しているようです。」

竹内が遠山に報告した。

「どんな乱れだ。」

遠山が聞き返すと竹内が答えた。

「システムに対する不安感が高まっているようです。」

「そうか、下河原から思考パターンセンサーの話を聞いたのかも知れないな。アーティストには直接思考パターンセンサーの装着依頼をしていないからな・・・。定期診断の際のビタミン注射にナノマシンを混合して秘密裏に装着している。自分が装着されているとは思っていないので下河原に話を聞かされて動揺したのかも知れないな。」

「フィードバック入れますか?」

「そうだな。深刻な方向に陥らないように導いてくれ。陽性のフィードバックを若干頼む。」

「了解。陽性レベル1のフィードバック入れます。」

本来なら必要のないフィードバックかも知れないが、オペレーションの重要な時期にきているので、不安は事前に取り除いておきたい。

人類の未来がかかっているのだから・・・。



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