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或る男の半生28 [小説]

3.ひろみ(13)

まず、ひろみの生まれ故郷。二人で約1年暮らした仙台から探すことにした。

二人で住み込みで働いたパチンコ屋や、ひろみの親戚などを回ったがどこにもひろみの立ち寄った様子はなかった。

一日かけて聞き込み終えた俺は、次の日は二人で行った思い出の土地をめぐってみた。

青葉城祉、松島。 二人で見たものを今は一人で見ている。

いったいどうしてしまったんだ。

どこに行ってもひろみの影が・・・・


週末をつぶして仙台の探索を行ったが、手がかりは全くない。

見つかるわけがない。

きっと、もう俺の知らないところに行ってしまったんだ。


俺の金を持って・・・。

他の男と・・・・


そうだ、子供・・・・。

子供がいるんだ。

3人で幸せに・・・


幸せなんだろうか?

ひろみが幸せなら・・・・


いや、幸せなわけがない。

きっと脅されて無理矢理詐欺をやらされているに違いない。


早く助けてやらなければ・・・・

子供と一緒に。


きっと子供がいるから神崎と離れられないに違いない。

子供が人質?


一人で居るとどうしてもいろいろなことを考えてしまう。

平日は仕事をしているので何とかなっているが、週末にひろみを捜し始めるともうダメだ。

どんどん内へ内へ入り込んでしまう。

両親も様子がおかしいと心配している。お金はもう良いから追いかけるのをやめろと行っている。


俺も心の中ではもう、ひろみが戻ってこないことは分かっている。

ただ、もう少し詳しい理由が知りたいだけなんだ。

5年間も一緒に暮らして。結婚までして(届けは出されていなかったが・・・)。

すんなり忘れられるわけがない。


どんな手がかりでも良い。何かが引っかかればと思い、俺は毎週探しまくっている。

仙台の次は東京で、染め物工場から事務をやっていた商店、スナックなどを聞き回った。


それでも実のある情報は得られず、瞬く間に半年が過ぎた。季節は冬を過ぎ春になろうとしていた。

何度足を運んでも有望な情報が得られないのでさすがに疲れ果ててしまった俺に

一通の手紙が届いた。

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